ピアノとともに成長できた自分がいるから、指導できる自分がいる・・・

　神奈川県の三浦半島先端の海と畑に囲まれた自然豊かな地で育ちました。３人姉弟の真ん中で幼少期より内弁慶、外では人見知りで思ったことが言えない子供でした。またひとり空想し想像を膨らませて色々考えることが大好きでした。　

　祖父からのピアノのプレゼントで、４才より姉と一緒に幼稚園のオルガン教室に通い始めました。気がつくとその教室のオルガンがピアノに変わっていました。家では祖父からもらったピアノで練習していたので、レッスンがオルガンからピアノに変わっても特に戸惑うことはありませんでした。

　小学校に入ってからも相変わらず人見知りで静かな子供でしたが、音楽の時間や合唱の時には先生から伴奏を頼まれ少しずつ自信を持ち始めることができるようになりました。

　気がつくと低学年ではたくさんの友達がピアノを習っていましたが、高学年になると３人ぐらいしかピアノを続けていませんでした。でもピアノを続けていたことがきっかけで他の人より少しだけできることがあるという気持ちからか、段々と積極的になっていく自分を嬉しく思える自分がいました。

　辞めたいと思ったこともたくさんありましたが、両親は練習をさぼったりしている私を「もう辞めなさい。」とも言わず長い目で続けさせてくれたことに小学校卒業のころ本当に感謝しました。両親は習い事は長く続けてこそ身につくものと知っていたのかもしれません。

　中学生になっても合唱コンクールでは常に伴奏を頼まれ、ピアノのレッスンでは大曲を弾くようになりピアノを弾く楽しさを覚えたころでした。

　高校は家から通える範囲で片道２時間半かけて高校音楽科に通いました。いなかの中学校でちょっと他の人より弾ける程度でしたので、高校に入り挫折を感じ、自分に何が足りないのか自問自答の日々でした。

　ある日、犬の散歩中ぼんやり歩いている時に感じたさわやかな海風の心地よさでハッと気づきました。自分はがむしゃらに弾いているだけで、脱力と表現力が足りないのだと。その気づき以降のピアノ実技試験はぐんぐん評価されるようになり、上位者のみ出演できる卒業演奏会では最後の大役を果たしました。

　その後、大学器楽科ピアノ専攻に進学し直に西洋音楽を学ぶためオーストリア、ドイツ、フランスなどの研修に参加。また師事していた法月康江先生の薦めで最後の巨匠としてあこがれていたマックス・エッガー氏の公開レッスンを受講、その時にお褒めいただけたことが自信の糧になっています。

　卒業後、学生の頃からの自宅ピアノ指導、音楽教室講師のほか地元の児童合唱団の伴奏をする日々を過ごし、結婚後、夫の海外赴任でシンガポールに３年滞在。現地の子供たちにピアノを通してふれあい、楽しく貴重な時間を過ごすことができました。

　帰国後、２人の子を出産・子育てに専念。再びピアノ指導を再開できるよう絶対音感指導法、リトミック、アレンジ、コード奏法指導法、生涯学習音楽指導員資格取得など生徒さん向上のための勉強のほか、連弾duoを結成し気軽に楽しめるコンサートを行う活動など、常に学びを忘れないように心がけていました。

　指導歴は30年になりますが、子育て後の指導は若い頃の指導とは違い、そのころには見えなかったものがよく見えるようになり、より教えることに喜びと生きがいを感じるようになりました。現在は一人ひとり個性の違う生徒さんに教えるための日々の勉強が楽しくてなりません。

森ピアノ教室　　主宰　森　佳子